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04 2010

SLITS

あの頃は、毎日がスリルとトラブルで一杯だった

使い込まれたType-2で、地方巡業に出た旅回りのストリップ一座「SLITS (motorocks No,1収録/少年画報社)」のロード・ストーリーは、〆切りギリギリの隔週ペースで仕上げた想い出深い作品です。
実は前もって用意されていたお話ではなく、物語の主人公の様に行き当たりバッタリの人生(進行)だったのでした(笑)

自分の場合、意外と成り行きで仕上げた方が面白い話になったりしますが、調子に乗ると大失敗するので要注意です。
この時は、たまたま手応えを感じるゾーンに入ったので、そのまま描き切りました。
一流のプロ作家は、必ずゾーンを狙いすまして仕上げてますし、何度読み返しても隙が全くありません。
その点で、私の様な三流漫画家はツメが甘く、後になって直したい気分に陥るのは当たり前なのです。

よく最近「漫画は描かないんですか?」と聞かれますが、仮にその機会に恵まれても慌ただしいペースでは、もう描けないでしょう。昔から、他人に絵を弄られるのが好きじゃないので量産出来ない上に、視力が落ちてしまったのが痛いワケです。特に手描きの場合、狙ったラインがズレてしまったり細かい処理が疎かになると、やり直しが利かず雰囲気がガラッと変わってしまうので始末に負えないのだ。

いよいよ漫画も、拡大しながらデジタル制作しなきゃならない時期かもしれませんが、長年の成り行き上・意味も無くアナログに拘ってしまうのでした。では最後に、作中で西へ向かうスプリット・ウインドーのカーラジオから流れてくるこのナンバーをどうぞ。